雪ノ下一丁目

大河ドラマ「北条時宗」レビュー/ストップ!実時くん連載中

時輔所感

※時輔に対して当たりきついので、時輔好きな方は閲覧を控えてください

大河ドラマ北条時宗における裏主人公とも言うべき北条時輔。その境遇に加え、渡部篤郎の醸し出す陰のある色気で人気あるのも分からなくはないけど、ちょっと私には時輔の思考回路が理解不能でどうにも感情移入できなかった。

厭世的だったくせに桐子から話を聞いただけで国を開く!!とか言い出したのも唐突だったし、行く先々の偉い人に有能さを買われて気に入られる設定も都合良すぎだし(いわゆる00年代大河によく見られた主人公チート設定の走りかもしれない)、そんな有能設定の割にいろんな人の話を聞き齧ってはすぐに影響受けて無駄に行動して時宗に迷惑かけるわ、屈折してるくせに簡単に人に騙されて利用されるわ、自分が相手を必ず説得するからと言って回ったのが裏目に出るわでもうどうしようもない。宗政がいい加減にされよ!いつもそなたは兄時宗の邪魔をする!!と時輔を罵倒した時は全視聴者が溜飲を下げたと思うよ(そうでもないのか…?)。その宗政も時輔病が伝染して急に人類愛に目覚めて蒙古兵助けた結果その蒙古兵に殺されるし、マジ時輔疫病神。時宗も、兄が情に訴えてくるのを切り捨てて和睦拒否して使者を斬らせた時は、ついに個を超越したスーパー執権殿に進化したと思ったのに、いきなり時輔病発症して、泰盛や御家人たちの前でもう幕府も御家人もいらない、新しき国を作るとか言い出すし…それも弘安の役の最中にだぜ…マジでビックリした…これ気が狂ったと言われて更迭されてもおかしくないレベルなんだが…(なんだかんだで泰盛優しいよね…最初から最後まで武骨キャラで御家人を代表する幕府制度の守護者的ポジだったので、時宗や時輔の先進的な考えが理解できない老害扱いされて可哀想だった…最愛の妻をよりによって頼綱に寝取られる(?)し)

ここまで時輔をチート設定にしたからには、時輔至上主義で時輔の言うことは絶対!時輔の言うことを聞いてれば蒙古との戦もなかったし世界征服できたのに周りが理解しないから!ぐらいに脚本家は考えてるんじゃないだろうな、と疑ったが、桐子に時宗と時輔、どちらの考えが正しいとは言えない、と言わせたり、時輔には己の独りよがりな暴走でもう一人の弟・宗政を失うという罰を与えている。こちらが歩み寄れば相手と必ず分かり合えるというのは後半の赤マフ化した時輔がことあるごとに主張していたことだったが、必ずしもそうとは限らないことを象徴するシーンだと私は勝手に解釈している。脚本家は時輔が好きなんだろうけどお花畑脳ってわけじゃないんだな、良識はあるんだなと思ってちょっと安心した